HERB and LIFE

「ハーブのある暮らし」

HERB and LIFE

心が折れてしまいそうな時、もう少しだけ元気が欲しい時、
そっと気持ちに寄り添ってくれるハーブがあります。
植物たちが届けてくれる小さな魔法。
そこに流れる、心穏やかな優しい時間。
「ハーブのある暮らし」はじめませんか?

素敵な魔法を知りたくて

太陽の光や、潤いをくれる雨の恵みを受け、豊かな大地で種から育ち、花を咲かせ、そして実を結び、命の巡りを繰り返す植物たち。
 ハーブを暮らしの中に取り入れるということは、植物たちが持つ素敵な魔法を、おすそ分けしてもらうようなものかもしれません。そんなハーブのことをもっと知りたい。そこで、日本におけるハーバリストの草分け的存在である萩尾エリ子さんに教えていただくため「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」を訪ねました。

植物が織りなす物語の扉。

いつも身近に緑の気配を

植物というのはリアルなもの。ドライにも、精油にも、生のものにもそれぞれのリアルがあります。大切にしたいのは「緑の気配」。たとえば花屋さんに入った時、植物が息づいている香りを感じた時の心地良さ。そんな感じを家でも取り入れてみるために、まずはハーブをひとつ育ててみませんか?庭がなければ小さな鉢植えでも大丈夫、ミントやレモンバームなどの育てやすいハーブから始めてみるのがおすすめです。身近にハーブがあれば、お料理に使ったり、お風呂に入れたり、お茶にすることもできます。ただしハーブには薬効があるので、ハーブブックを一冊持って勉強することも大切。そうやってハーブを育てて使っていくうちに自分の感覚で分かってくることも増えていきます。

花束ひとつが癒してくれる

植物が持つ力は、どの成分からどんな効果が得られるのか化学的な分析が進み、薬学に近づいてきました。しかし植物の世界には、それだけではない不思議で神秘的な部分もあります。その両方のバランスをとることが大切なのです。でもそれは初心者には少し難しいので、まず「自分の気持ちに寄り添ってくれる」と思うことから始めてみましょう。たとえば季節の花でつくった小さな花束をテーブルに飾るだけでも、その香りや草花の表情に癒されていくことに気づくと思います。気持ちいいと感じることからひとつずつ取り入れてみる、これが日常を元気に生きていくことにつながっていくのです。

香りの点滴

家庭の薬箱の最初の1本には「ラベンダー・アングスティフォリア」が良いと萩尾さんに教えていただきました。鎮静作用が強いラベンダーで、眠れない時や、傷がある時など、いろいろなことにつかえる精油です。ひとくちにラベンダーといっても、品種があり、標高など生育地によって成分が異なり効果にも違いがあります。精油は通常植物油などで薄めて使いますが、はじめは酸化が少なく日持ちがいいホホバ油がおすすめ。お肌が少しかゆい時や痛みがある時などに塗れば炎症を鎮めてくれます。ラベンダー・アングスティフォリアは原液も使えます。同じ場所につけ続けるとかぶれるので、いつも使えるわけではありませんが、手首の内側の血管の所に塗ると、そこから直接入っていきます。さらに嗅覚からも同時に入るので効果が高く「香りの点滴」と呼ばれています。

身体の声を聴きながら

ハーブも人それぞれに合うもの、合わないものがあります。たとえば優しいハーブのひとつであるジャーマン・カモミールも、キク科のアレルギーがある人には注意が必要。身体の声を聴きながら自分に合うかを判断する、つまりハーブを効果的に使っていくためには自分を知ることが大切なのです。これからの寒い季節には身体を温める効果があるレモングラス、シナモン、ローズヒップ、ジャーマン・カモミール、ジンジャールート、レッドローズをブレンドしたハーブティーで、ほっとした時間を過ごしてみてはいかがですか?

素敵な香りに包まれている店内。これは長い年月をかけて、この店が宿してきた優しい香りの積み重ね
から生まれたものだと思います。その時の体調や気分に合わせてハーブティーを選ぶ時間にも癒されて。
基本の精油
「ラベンダー・アングスティフォリア」「ユーカリ・ラディアタ」「ラベンダー・スピカ」「ラヴィンツァラ」の4種類は、希釈するための植物油などと一緒に家庭の薬箱に揃えておきたい精油です。


家庭の薬箱の最初の一本におすすめの「ラベンダー・アングスティフォリア」は、幼児からお年寄りまで使える優しい精油。痛みを和らげ、傷を癒し、眠りを誘います。同じラベンダーでも「ラベンダー・スピカ」はスッキリとした香りが印象的です。「ユーカリ・ラディアタ」はユーカリの中でも安心して使えるタイプ。咳を鎮め、痰を切ります。花粉症やインフルエンザの予防、緩和に役立ちます。「ラヴィンツァラ」は、どなたにも使いやすい精油で万能薬であり、ウィルスや菌にも強いです。ラヴィンツァラにラベンダー・アングスティフォリアを1滴加えてデュフューザーを使えば、風邪の予防にも。精油は希釈の仕方で使い方のバリエーションが広がります。


基本のドライハーブ
「ジャーマン・カモミール」「レモンバーム」「リンデンフラワー」の3種類は家庭の薬草として揃えておきたいハーブです。どれも刺激がなく、味も香りも穏やかで、乳幼児からお年寄りまで使えます。


「ジャーマン・カモミール」はヨーロッパでは伝統的に家庭で常備されている万能ハーブで、抗炎症、鎮痛、鎮静作用などがあります。お茶は腹痛や生理痛、不眠にも。「レモンバーム」は記憶を高めたり、消化促進、発汗、鎮静作用があり、ストレスから起こる胃炎にも効果が期待できます。風邪や不眠、気分が落ち込んだ時はお茶にするのがおすすめ。「リンデンフラワー」は神経をリラックスさせ、消化を助けるなど、穏やかな効果で使いやすいハーブです。この3種類のハーブをブレンドしたお茶はデイリーケアとして使えます。ハーブティーは200mlの熱湯に、約3gのハーブを目安にして、4~5分間蒸らしていれてください。


植物たちが教えてくれる。
自然と呼応することの豊かさと、 愛おしい時間を生きるということ。

「木の時間、草の時間、猫の時間、人間の時間、みんなに命の時間があります。その命をまっとうしたとしても、それぞれの持ち時間は違いますよね。そんないろいろな時間が集まって自然はできているのです。だから私がいる間は、ここを訪れた人が、ひと息ついたり、元気になれる「小さな木かげ」をつくりたいの」と、お店という「場」への想いを話してくれた萩尾さん。「自分の身のまわりのものも、知っていくとそこには必ず物語があります。植物にも、古くから神話や言い伝えがあり、そこから薬用効果がわかったものもあるんですよ。そして大切なのは、地面の上に立ち、植物を育てたりしながらリアルな自然に触れてみることです。地面の上に立った方が、人は強いですよ」とも、教えてもらいました。そしてふんわりとした笑顔とともに、庭で摘んだ草花でつくった小さな花束を、そっと手渡してくれました。

 ハーブのある暮らし、それは自分の原点に出会うような、心静かな優しい時をくれる風景のひとこまをつくります。


蓼科ハーバルノート・シンプルズ

〒391-0213 長野県茅野市豊平10284
営業時間 9:00 – 18:00
定休日 水曜日
Tel 0266-76-2282 / Fax 0266-76-6416

https://www.herbalnote.co.jp/


萩尾エリ子さん

ハーバリスト。ナード・アロマテラピー協会認定アロマ・トレーナー。
1976年に東京から長野県の蓼科に移住し、ハーブショップ「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」を開く。諏訪中央病院でハーブガーデンプロデュース及び緩和ケア病棟のボランティアを行うなど、さまざまな分野で植物の豊かさを伝えている。著書に「香りの扉、草の椅子」(扶桑社)、「八ヶ岳の食卓」(西海出版)などがある。


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