松戸市の玄関口である松戸駅は、古くは水戸街道の宿場町として栄え、近年では東京のベッドタウンとして多くの若い世代や子育て世代でにぎわっている。改修が続く松戸駅のペデストリアンデッキは、洗練された都市のイメージが広がる一方、少し歩くと、神社や歴史の流れを感じさせる建物、江戸川の土手など、レトロな街並みが続く。新旧の魅力が入り混じるこの街で、おしゃれな街に生まれ変わるための動きが続いている。

 松戸市では、2018年に「おしゃれな街まつど検討会」を立ち上げ、翌年には松戸を舞台に活動するまちづくり会社とともに、松戸ならではの“おしゃれな街”を目指した仕組みづくりを調査・研究する勉強会を始動した。この勉強会には、松戸駅周辺で活躍する若き店舗経営者達も集まった。4.5坪の立ち飲みカウンターバル、床屋の2FをDIYで改装したベーグル店、創業75年の老舗スポーツ店、明治時代からルーツを持つ日用品セレクトショップ…、いずれも若い層を中心に話題の店舗で、店主達は自分たちの活動と事業によって松戸をおもしろくさせたいという思いに満ち溢れていた。新型コロナウイルスの影響でイベント活動が制限される中、各店舗共通デザインのオリジナルリーフレットカードの作成、オリジナルデザイングッズの開発や商品の取り扱いの連携など、アイデアは途切れることを知らない。離れた店舗同士でも共に活動できる仕組みを確立すべく市と協議を進めた結果、2021年には、「アソシエーション型商店会『Mism(エムイズム)』」の立ち上げに成功した。若きクリエイターによる出店はこの商店会に限らず、市内全域に及んでおり、市でもこうした出店に補助金を出すなど、活動を支援している。

 モノや情報にあふれる時代だからこそ、店主独自のこだわりや思いが人々を魅了する。松戸が考えるおしゃれな街とは、“自分なりの創意工夫によって利活用する”という人々の生き方そのものであり、松戸が大事にしてきた人と人との絆や新しい文化を受け入れる寛容性があるからこそ花開く、松戸独自の文化である。若きクリエイターたちの活躍で、“個性が光る クリエイティブな街まつど”へ進化が続いている。

オリジナルリーフレットカード