自分の『好き』を貫く人

好きなことを仕事にできたら…と思ったことはないだろうか。
夢のままで終わらせてしまっていたとしても、理想を胸に抱いた時の自分を少しだけ褒めてやりたい。
そんな思いがどこかに残ってはいないか。
人が生きる道には、さまざまな出来事があり、どんな経験も決して無駄ではない。
ならば今度こそ、夢に懸けてみようか。
そんな気持ちにさせてくれる起業家と出会うシリーズ『THE WAY I AM.起業家たちに学べ』
今回はアウトドアショップSUNDAY 代表 石川幸之助氏に聴いた。

「SUNDAY」はオープンから今年で10年になるアウトドアショップ。石川氏の前職はアパレル業界。複数の店舗を展開する会社でバイイングを手がけていた。洋服が好きで、仕事も充実していたものの、店舗全体を考えてのバイイングは、世の中の傾向や情報を分析し、販売スタッフの意見などを聴きながら、流行りを先取りして仕入れに反映させる必要があった。会社というシステム的な組織ではどうしても、来年はこれが流行るから、という意識で物を見るようになってしまう事に、自分の中で疑問を感じるようになったと言う。「店とは本来、自分が最高と思うことを、お客様に伝えたいがために、やるものではないのか」そう考えた彼が選択した道とは…。

アウトドアショップSUNDAY
代表 石川 幸之助

全ては縁とタイミング。
独立は、怖いならやめた方がいい。

「僕は実際に起業に踏み切るより前に、一度独立しようと思って、会社に辞めると言ったことがあるんです。でも言った後で「辞めてどうするの?」という恐怖心が大きくなって、その時は会社に残ることにしました。結果的にはその2年後に会社を辞めたのですが、不思議なことに、その時は怖さはなかったですね。自分も40歳で、もはや容易に転職できるわけでもないのに。理由はわからないですが、今思うと何かのタイミングだったんだろうと思います。
独立は怖いならやめた方がいい、何か不安があるならやる必要はないし、背伸びする必要もない。自分もそうだったから分かります。怖さがないと感じてはじめて前に進めるものです。『自分に素直になること』がすごく大事だと思う。
会社を辞めた時、実はまだ明確には何をやるか決めていなかったんです。でも人との縁に恵まれて某フットウェアメーカーのワゴンショップを始めることができ、話題性もありかなり売れました。しかし、これにしがみついていてはダメだと感じ『本当に自分のやりたい事』を始めようと動き出したんです。ちょうどそのタイミングで運良く貸店舗の空きが出て、「SUNDAY」をオープンさせることができました。全てがご縁とタイミングだっだと思います」。

やるなら、自分が好きなものを。
「好きだ」ってことがモチベーションになる。

「流行に捉われずに、自分の好きなもの、趣味や遊びと連動させたことを伝えたいというのが、店をやりたくなったキッカケでした。伝えたい気持ちの中じゃないと物は動いていかないだろうし、長続きする店は作れないと思います。でも「SUNDAY」もオープンした当初は全然お客様が来なくて、毎日むなしい日々が続いたんですよ。当時は今ほどSNSも発達していなかったから、表通りから少し入った所にある店のことは、なかなか気づいてもらえなかったですね。でもフリーペーパーに載せていただいたりする中で、徐々にお客様が来てくれるようになったんです。開店当時からずって来てくれている方もいますし、うちのイベントがキッカケになり結婚したお客様もいるんですよ。本当に嬉しいですね。
店はみなさんの口コミのおかげで、どうにか軌道に乗っていきました。もちろん大変なことも多く、心が折れそうになることは今でもありますけどね。でも『好きってことがモチベーション』になって持ち堪えているんです。自分がいいと思い、楽しいと思ってやったことなら、失敗したとしても自分の中で納得できるから、それが困難を乗り越える活力になっていると思います」。

やってみたいと思うけど、何か壁を感じている人の壁を取ってあげられる店でありたい。

「山登りがしたいけど、どんな物が必要ですか?と聞かれることがあります。でも僕は道具ありきで物事を考えない方がいいと思う。まず自分が持っているもので、行ってみることが一番大事。いきなり過酷な所じゃなくて、たとえば湯村山とか近場をちょっと歩いてみると、あっ靴が必要だな、とか感じると思います。その時はじめて物を選ぶのが楽しくなるんですよ。まずはちょっと遊びに行ってみて欲しいという思いから、イベントも開催しています。
僕はどんなに長く店をやっても『初めての人の気持ちに立ちたい』と思っています。同時に、よりコアな山登りをする人にもきちんと自分たちなりの提案ができる店でありたいとも思っています。
店やイベントなど、どんな場面でも自分が代表であるという立場をわきまえ、責任を持つことだけは大切にしています。
やってみたいけど何か壁を感じている、そんなお客様の壁を取ってあげられる店でありたいですね。それには人の持つパワーも重要です。「SUNDAY」が続いているのはスタッフがいるからです。スタッフはみんな店を好きでいてくれるから、その『好き』な気持ちがお客様にも伝わるんですね。いつも明るい雰囲気を作ってくれるスタッフには感謝です。本当に僕は人に恵まれていると思います」。

曖昧さが自分に一番合っている。
極めずにいろいろ楽しむのが僕のスタイル。

「「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と、物の売り買いだけの関わりのお店では、つまらないじゃないですか。物を買うとかじゃなくても、遊びに来られるとか、誰もが『居心地がいい店』がいいなと思っています。だから僕はキャンプ場の中に店があるというスタイルをずっと前からいずれはやり遂げたいと思い続けてきました。キャンプ場というフィールドでありながら、キャンプしなくてもいい、お茶を飲みに来たり、買い物を楽しんだり、相反するものを融合させて、アウトドアに興味がない人も、音楽が好きな人も、思い切り体を動かしたい人も、みんなが思い思いに楽しめる場がいいなと思っています。こんな感じの『曖昧』が僕には合っている。極めるんじゃなくて、いろいろ楽しいことあるじゃん!っていうのが僕のスタイルです」。

自給自足という考え方。
生きる上で大事な意識だと思う。

「僕は世の中すべて『自給自足』だと思っている。それは起業した人も、給料を得ている人だって一緒。一人ひとりがちゃんと自分で種をまいて育てるって体質にしていかないといけないと思うし、生き残れないと思う。与えられたことをマニュアル通りに伝えても、それは伝わらない。やっぱり『自分の好きなこと、こだわっていることを伝える』ことが大事で、起業するとは、いかにそこに情熱を注ぎ、委ねられるかということだと思う。それは生きる上での大事な意識だと僕は思っています」。


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