桃源郷ジャズ日記その3

僕は、レコードプレーヤーにDENONのDP−3000を使っている。このプレーヤーは、ダイレクトドライブ方式のプレーヤーとしては、初期に発売されたもので、多分70年代の初め頃だったと思う。まだ、ターンテーブルは、ベルトドライブが主流でSNの良いダイレクトドライブが民間用に発売されたと当時は話題になり、けっこう色々なところで使っている人を見た。でも現在のプレーヤーと比べるとけっこう危ない作りで回転を制御するのもクオーツではなく、ACサーボでちょっと不安になってくるのだが僕はとっても気に入っている。
今はみんなCDを聴いているので、こんなことは気にしていないと思うが、いまいち僕にはCDの音は、(きれいな音で安心して聴いてはいられるのだが)心に響かないのだ。どうしてレコードのほうが心に響くのだろうかと思っていたのだが、最近、何となくアナログの良さは、音に「ゆらぎ」があるからじゃないかと思った。微妙な音の「ゆらぎ」がCDまたは、最新のプレーヤーと比べてあるのじゃないかと。
DP-3000のストロボの回転ピッチを見ていると微妙に回転が震えているのが分かる。これが正確に「ゆらぎ」もなく、きっちりスムーズに回転すれば、それは理論的には良いに違いないがきっとCDを聴いているようなつまらない音になるように思える。DP-3000のACサーボのいいかげんさが、ちょうど絶妙に音に奥行きをもたらす「ゆらぎ」を作り出しているのではないか。これが、後期のクオーツ制御になると、ちょっとつまらない音になってしまうのだ。レコードを聴きながらこんなことを考えてしまうのは、僕が聴いている音楽がアナログの時代に作られたものばかりだからか。手軽で誠実さのない今の音楽の聴かれ方の反発なのだろうか。
そんなこんなで、しつこくDP-3000を使っているのだが、このプレーヤーのちょっとレトロなデザイン、特にプラッスチックのスイッチの古くさい柔らかな質感がとっても好きです。
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デンオンDP-3000のレコードプレーヤー キャビネットの木調が偶然ヤマハのアンプと同じなので並んでいるとしっくりきます。 だいたいプレーヤーはハウリングに悩まされるのだけど全然ハウリングが起きない優れもののキャビネットです。音の重心が低い良いプレーヤーだと思う。
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カートリッジは、デンオンのDL103定番ですね。
さすがにプレーヤーと相性がいいのと変な個性がなく堅実なところが安心できる。
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ブルーノート4099番 グラントグリーンのサンデイモーニング。
B面の最後にSO WHATをやっている!マイルスのカインド・オブ・ブルーより
黒くてファンキーなSO WHATがとても素敵だ。

  1. 高谷 文夫
    2008-3-2 00:55 | #1

     拝見させていただきました。
     ご愛用いただき、うれしく思います。
     23歳の頃 三鷹 下連雀で DN-302F,DP-5000,3000 の電気系,メカ含めたサーボ系全体を開発した者です。
     ストロボの揺らぎとクォーツについて一言お伝えさせていただきます。
     当時のストロボはAC100Vの周期ですので、長時間のつじつまは合っています ( 昔のシンクロナスモータを使った時計が良い例で、停電が無い限り正確です ) が、短期的には周波数が揺らいでいます。
     また、残念な事ですが、ストロボのぼちぼち部分 ( 素人的ですね、訂正して突起部分 ) はダイキャスト製で、製造時の偏芯や熱的な歪が生産する物毎に微妙に異なり、後加工ができないのでどうしても精度が出ません。( 制御用パルス発生の部分は後で旋盤加工ですので精度は高いです。)
     ターンテーブルが安定に回転していてもストロボでは揺らぎが出る事は当時の技術,価格では止むを得ませんでした。
     その後のストロボ式は基準周波数を AC100V から取っていないでしょうから、ストロボ電源自体の揺らぎは無いと思います。( すみません、その後デジタル,コンピュータ関連で、今はプリンター制御関連に転進していまして、その後の情報はよく判りません。)
     また、クォーツ方式ですが、確かに基準となる周波数と回転検出周波数はぴたり位相が合いますが、これも残念な事ですが、回転検出用のパルス発生部分の機械精度が完全でない物は返って回転ムラを発生させてしまいます。
     確かに DP-xx を開発後、位相制御方式も試していましたが、自分の手で世に出す前に退職してしまいました。( 後日後輩?が開発して生産しています。)
     何処かの HP で拝見した中で、ターンテーブル裏側の窪みに鉛を埋め込まれたそうで、返って回転がおかしくなったとの記事を書かれていましたが、多分それは鉛を埋め込む時に回転数検出部分に歪を与えてしまった為と思われます。
     定速サーボ系でメカ部分の慣性が増えてサーボが不安定になる事は有り得ませんが、オーディオマニアの中に良く理解されていない記述が気になっています。
     この件もデジタル万能では無いとおっしゃるご意見には同感ですが、チョット方向が違っている様に思われますので、お知らせです。
     
     

  2. murasumi
    2008-3-3 19:59 | #2

    高谷文夫様
    ご指摘ありがとうございます。
    DP-3000のメカニックとサーボを開発なされたと書かれていて驚いています。DP-3000のサーボの成り立ちがよく分かりました。確かにストロボ揺らぎとターンテーブルの回転が同調しているわけではなく、音にストロボの揺らぎが影響をほどこしているわけではないですね。僕もその関連性は、ないだろうなと思っていました。ただDP-3000のストロボの微妙な揺らぎを見ているとアナログの音の良さはデジタルでは表現できない「揺らぎ」もしくは、計算でなりたたない人間的なあいまいさ「心の揺れ」があるんじゃないかと思ってストロボの震えを例えてしまい浅はかだったと思います。どれだけ苦労なさってそういった誤差をなくそうとしたか文面を読ませていただき分かりました。僕がDP-3000にひときわ愛着を持つのもそんな開発なされた方々の思いがDP-3000から伝わってくるからだと思います。機械なのにとっても人間的な魅力がDP-3000にはあると思います。その思いを書きたかったのですが、うまく表現できませんでした。でもコメントいただきとってもうれしく思いました。これからもずっと大事にDP-3000を使っていきたいと思います。
    村角文康

  3. 高谷 文夫
    2009-10-26 20:49 | #3

     ご無沙汰しております。DP-3000 は健在でしょうか?
     当方の勝手な書き込みをそのまま HPに掲載くださるとは思っていませんでした。( チョッと恥ずかしい。)
     ただそれが縁で、今 DP-3000 を復活しようと格闘?されている方から問合せのメールをいただいて、やり取りしています。
     当方もオーデイオの業界から転職し、業務用カラー・プリンター・コントローラ ( F?社のプリント・サーバ ) の制御基板開発,設計をやっていましたが、昨年無事( 設計職現役を通し ) 定年退職 しました。( とりあえず設計ミスを犯さず無事に退職?)
     その当時まだまだ経験不足の者が開発,設計した物を、皆様に大事に使っていただいている事を知る機会を与えていただき、本当に感謝しています。

  4. crafton555
    2017-1-26 23:13 | #4

    10年前の書き込みにスレするのは???とは思いましたが、思わず書き込みさせていただきました。
    わたくし、現在、DP-3000を愛用させて頂いています。
    このDP-3000、1955年生まれの私が大学下宿時代に使っていたテクニクスSL1200とは、明らかに違う質感、そして存在感で、今も、針をおろすたびに手に入れて(数年前)よかったという感動が込み上げてきます。
    たまたまこちらのページを拝見し、開発者の高谷様の書き込みを見ることが出来てとても驚いていますが、DP-3000は、この世に出て40年以上が経過しつつも、未だに私たちの心を揺さぶり続けています。
    こんな素晴らしい贈り物を開発していただいた高谷様、本当にありがとうございました。
    DP-3000は、多分、私の人生最後のプレーヤーになると思います。

  5. murasumi
    2017-1-30 12:30 | #5

    crafton555様
    コメントありがとうございます。DP-3000名機ですよね。あのレトロではなくハイテクでもない佇まいに魅かれます。僕もメインのプレーヤーは糸ドライブの自作ですがサブ機として使っています。いつ使っても優しく迎えてくれるような安心感があります。末永く手元に置いておきたくなるプレーヤーです。

  6. 牧 嘉範
    2018-1-30 16:29 | #6

    私もDP3000を現在も使用しています。 自作のケースにこのターンテーブルとDENON アームDA305、同じくカートリッジDL103を組み合わせています。 これらは1974年だったと思いますからもう40年以上が経過しています。 当時はDP3000のデザインとDENONであることが気に入って大枚を投じたことでした。 しかし期待に違わず回転もスムースで今日まで回り続けています。 このターンテーブルは当時の同種の製品の中では飛び抜けて優れたものだと今でも思っています。 なお、カートリッジはDL103は4個目です。 トランジスタの経時劣化で高速回転するトラブルが発生すると報告されていますので、今後も長く使用するつもりで交換用のトランジスタを常備しています。  

  7. murasumi
    2018-1-30 18:38 | #7

    牧様
    コメントありがとうございます。僕もまだまだDP3000愛用しています。この間も久々に使用しましたら、最初は回転が不安定だったけれど、使っているうちに安定してきました。トランジスタは交換していないけどまだまだ現役でがんばっています。音もしなやかでとてもいいプレーヤーだと思います。テクニクスSL1200も復活しましたし、DP3000も復刻?してもらえないでしょうかね。銘プレーヤーだと思います。

  8. 上田 昌吾
    2018-7-28 10:31 | #8

    初めまして上田と申します。1955年生まれのおっちゃんですが、学生時分にアルバイトで稼いだ資金をもとにオーディオを揃えて、現代ではトリオのチューナーとプレーヤーのみ当時の機種で使用していますが、先日DP3000でレコードを聞いた後にストップボタンを押したところ反応せず、回転が止まりません。仕方なくコンセントを抜いて止めたのですが、何が原因でこうなったのか素人のため、分かりません。回転は33,45共にどちらも安定して回っています。記憶が合ってればボタンを押したときにカチッと抵抗があったように思うのですが、それもありません。接触不良程度なのか、自分で出来ることがあるのならやってみたいのですが、ご教授いただければ幸いです。愛着のあるため何んとかしたく投稿いたしました。勝手なお願いとは思いますが、よろしくお願いいたします。

    • murasumi
      2018-7-30 08:17 | #9

      確か止まらない時は、接触不良だったような。スイッチの所を裏から見れば分かるかもしれません。

晴耕雨読