
更地になった我が家こんなに広かったっけ?
11月の連休いよいよ古い家を解体するために、取りあえず使わない荷物を倉庫に運び、生活に必要な最小限の荷物を仮住まいのアパートに運びださなければいけない。10年以上住んでいると「なんでこんなに!」といやになるほど物がたまっている。レコード、本、雑誌・・・それだけでもかなり広い倉庫の壁がいっぱいになり、押し入れの中からは、山のように版下、コピーの資料が出てきた。今はデザインをMACで行うから、こんなに紙を必要としないが、当時は、一枚一枚版下に写植の文字を貼付け制作していたのである。捨てられないで保存していたのだがさすがにしまい込む所も無い。思い切って捨てることにした。三日間かかって全てを運び終わった家の中に。ゴミの山だけが残った。もう、絶対収納はつくらないぞ。ずっと眠っていた物の山を見てそう思うのだが本当に大丈夫かと自分の性格を考えるとちょっと不安になってしまう。色々な物に興味を持つと際限なく集めてしまう。気が多いのも困ったものだ。
やれやれと夕暮れの中で最後のかたづけをしようと、これまた、昔のデザイナー三種の神器と言われたトレスコープが入っている納屋の暗室を何年かぶりに開けてみた。「あーっ ししゃも!」驚きのあまりのけ反ってしまった。この家に住み始めて直ぐに子猫のノラがやってきて、あまりのかわいさにシマ模様が魚のししゃもに似ていたので「ししゃも」と名付けて飼い始めたのだが、12年目の春さすがに弱ってきて居なくなってしまった。猫が死を間近にすると姿をくらますと言うのでとうとうその時がきたのかと家族で探し廻ったのだが、ついに見つからなかった。そのししゃもが暗室の中に居たのである。元気な頃は、この納屋には入ったことがなかったのに。「かわいそうに!」思わず涙が込み上げた。ずっと側にいられるよう庭のあじさいの木の下に埋めてあげた。最後に見つけてあげられて本当に良かったと思う。

